日本政治の空気が一変した。
9月7日夕方、石破茂首相が突如、自民党総裁を辞任すると表明。
「対米関税交渉に区切りがついた今が、辞めるべき時だ」
静かな声でそう語った首相の姿に、会見場はざわめいた。
この瞬間、永田町はもちろん、国中に衝撃が走った。
石破退陣までのドラマ ―「孤高のリーダー」の限界
振り返れば、石破政権の崩壊は時間の問題だったのかもしれない。
7月の参院選敗北後、続投に強い意欲を見せてきた石破首相。
「地位に恋々としない」と言いつつも、議員懇談会や党総会で辞意を否定し、あくまで前を向いてきた。
だが、党内の空気は冷たかった。
森山幹事長の辞意表明を皮切りに、党四役が次々と「進退を一任」と突きつける。
麻生太郎元首相は「総裁選前倒し要求に署名する」と明言し、鈴木馨祐法相までも賛同。
そして最後の決め手は、菅義偉元首相。首相公邸で「党を分裂させてはならない」と迫り、石破に退陣を決意させた。
――かつて“石破旋風”で政権を奪還した男は、最期は味方に追い込まれ、盟友に背中を押されて幕を閉じた。
焦点は「次の首相」――本命はこの二人!
石破が去った今、永田町は一気に「次の首相探しモード」へ突入。
最も注目されるのは、やはりこの二人だ。
高市早苗 ― 女性初の宰相なるか?
石破政権から距離を置きながら、自身の存在感を巧みに維持してきた。
「女性初の首相」という象徴性は、世論を一気に引き寄せるカードだ。
保守層を固め、議員票をどこまで伸ばせるか。順当にいけば本命中の本命といえる。
小泉進次郎 ― 国民的人気は健在
石破路線を引き継ぐ「後継者」として注目されるのが小泉農水相だ。
農政をめぐる混乱の中でも精力的に動き、連日メディアを賑わせている。
何より圧倒的な知名度と人気。街頭に立てば人が集まり、SNSでは賛否を超えて話題になる。
石破辞任の前夜、菅元首相と共に公邸を訪れ、長時間にわたって石破と語り合った姿は印象的だった。
「俺が次を継ぐ」――そんな無言の決意がにじんでいた。
忘れてはいけない“ダークホース”
ただし、選挙は何が起こるか分からない。
特に今回は「石破退陣」という大事件の直後。サプライズの余地は大きい。
- 赤澤亮正・経済再生相
石破の最側近として対米交渉を担った実務家。総裁選出馬経験はゼロだが、推薦人を集めれば一気に脚光を浴びる可能性大。「石破チルドレンの逆襲」として支持が広がれば面白い存在になる。 - 林芳正、茂木敏充、河野太郎ら
ベテランの実務派。政策経験は豊富だが、鮮度や話題性で劣るのが難点。しかし、党内力学で一定の票を押さえられるだけに、決選投票で“キングメーカー”になる可能性は高い。
永田町の常識では「大本命が勝つとは限らない」。むしろ意外な人物が総裁の座を射止めることも少なくない。
次の首相に課される現実的なハードル
華やかな総裁選の舞台裏で、次期首相に待ち受けるのは厳しい現実だ。
- 衆院で過半数割れ
自民党単独では数が足りない。つまり、新首相は野党と手を組まなければならない。連立の駆け引き、妥協の連続が避けられないだろう。 - 対米交渉と対中関係
石破が苦心して切り開いた米国との関税協議、その後をどう引き継ぐか。さらに中国との関係も調整が急務。国内政治のリーダーであると同時に、外交の舵取り役でもある。 - 経済再建への圧力
物価上昇、コメ価格の高騰、賃上げと財政健全化のせめぎ合い。国民の生活に直結する課題は山積みだ。
次の首相は「人気」だけでは務まらない。「現実」と正面から向き合う覚悟が問われる。
結論 ― ドラマはこれから始まる
石破辞任は政治史に残る大事件。
その後継をめぐる総裁選は、ドラマ以上にドラマチックだ。
- 初の女性首相誕生となるのか?
- 石破路線を引き継ぐ若き後継者が登場するのか?
- それとも意外なダークホースが一気に台頭するのか?
答えはまだ誰にも分からない。
ただひとつ確かなのは――この秋、日本政治は新しいステージへと突入する。
次の首相を決める戦いから、絶対に目が離せない。