演出家・宮本亞門氏（67）がフジテレビ「ぽかぽか」に生出演し、かつて舞台で経験した“大物女優M”とのトラブルを赤裸々に語った。笑いと恐怖が交錯するそのエピソードは、舞台の華やかさの裏にある緊張と葛藤を浮き彫りにする。
29歳の若き演出家、初めての大仕事
宮本氏が演出家としてデビューしたのは29歳。当時、共演者はほぼ全員が年上で、経験豊富な俳優ばかりだった。「言われる、言われる。『何者か分かんないけどさあ』なんて言われたり、稽古を途中で抜けちゃう人もいた」と振り返る宮本氏。若手演出家として自分の演出をどう受け入れてもらうか、毎日が試練だった。
その中でも、特に印象に残ったのが“大物女優M”とのトラブルだ。舞台稽古中、彼女は度々「辞めたい」と口にしていた。しかし、その言葉の奥には、ただの不満以上に強い意思と独自の個性が隠されていた。
深夜の4メートルFAX――恐怖と笑いの狭間
ある深夜、宮本氏の自宅に届いたFAXは、冒頭が「この舞台を…」で始まるものの、途切れることなく約4メートルに渡って続いたという。文字は乱れ、勢いにあふれ、まるで酒に酔った人が感情をぶつけたかのようだった。
宮本氏は「怖かったですよ～。呪われたと思ったし、殺されるんじゃないかと思った」と冗談めかして語るが、実際の緊張感は想像を絶するものだった。
驚くべきことに、翌日女優は何事もなかったかのように稽古場に現れる。文句を言いながらも舞台を降りず、宮本氏は「大体文句言う人は、自分が権力を取りたいだけ」と笑い飛ばす。この瞬間に、舞台特有の心理戦と駆け引きの世界が垣間見える。
有力なのは、この4人？
宮本氏は女優Mの名前を明かさなかったが、視聴者や業界関係者の間で自然に候補が絞られる。その条件は「大物」「舞台経験豊富」「年上」「自己主張が強い」。この条件をもとに有力候補として挙げられるのが以下の4人だ。
- 松坂慶子：圧倒的な存在感と、舞台・映画での長いキャリアを誇る。華やかで独特なオーラが際立つ。
- 桃井かおり：自由奔放で個性的な演技力。舞台での経験も豊富で、強い自己主張を持つ印象。
- 水沢アキ：90年代に華やかさを放った舞台女優。若き日の宮本氏の稽古場にも馴染みがありそうな存在感。
- 前田美波里：舞台での実績と大人の貫禄を兼ね備えた女優。強い意思と存在感で知られる。
番組内で共演の武田真治も「そのMってもしかして…」と名前を推測しかけたが、宮本氏は慌てて制止。「だからダメだって！お願いだから！」と身を乗り出す姿は、秘密保持への強いこだわりを物語っている。
舞台裏の世界のリアル
このエピソードから見えてくるのは、舞台の世界がいかに複雑で、出演者と演出家の間で感情のぶつかり合いが絶えないかということだ。舞台は単なる作品ではなく、人間関係や心理戦が絡む生きた現場である。
宮本氏の語りにはユーモアと冷静さがあり、恐怖や緊張も交えながら笑いを誘う。視聴者は舞台稽古の裏側を知り、宮本氏が感じた不安や驚き、そして怒りや困惑の感情を追体験できる。
女優Mの正体は最後まで明かされない。しかし、松坂慶子、桃井かおり、水沢アキ、前田美波里――いずれも舞台界の大物であり、読者の想像力をかき立てる“伝説の女優”として心に刻まれることは間違いない。
最後に
この話を聞くと、舞台裏の世界が単なる華やかさではなく、緊張感とドラマに満ちていることがよくわかる。若き日の宮本氏の挑戦、出演者との駆け引き、伝説的女優Mとのやり取り――すべてが舞台という魔法の世界の一部である。
読者は名前を想像しながら、稽古場の緊迫感や息づかいを追体験できる。笑いと恐怖、そして尊敬が混ざり合った、舞台界ならではの“伝説の一幕”だ。